食べる 買う

越谷の創業111年の木田豆腐店が新商品 豆乳使うスイーツや総菜

(左から)寺田久美子さん、木田みつこさん

(左から)寺田久美子さん、木田みつこさん

  • 8

  •  

 越谷の老舗豆腐店「木田豆腐店」(越谷市中町6、TEL  048-962-3301)が11月4日、スイーツや総菜の販売を始めた。

【写真】ほんのりカレー風味の「おからドーナツ」

[広告]

 1914(大正3)年創業の豆腐店。豆腐やがんもどきなどの定番商品に加え、「おからドーナツ」「豆乳プリン」「おからコロッケ」などの新商品を販売する。

 「昔は市内の豆腐組合に30店ほどが加入していたが、今は4店だけ」と話す3代目の木田宰輔さんの妻・みつこさんによると、創業者の木田梅三郎さんは、豆腐店を営む赤羽(東京都)の実家をから出て、越谷の鮮魚店で修業。その鮮魚店近くに店を開くことになったため、競合店にならないように豆腐店を開くことにしたという。2代目の春治さんは42歳の若さで亡くなり、妻のとみこさんが店を切り盛りしていたことから、3代目の宰輔さんは高校を卒業してすぐに店を手伝うようになった。現在、宰輔さんは店に立っておらず、みつこさんが店に立っている。

 越谷市蒲生出身のみつこさんは結婚を機に1970(昭和40)年代にから店を手伝い始めた。みつこさんは「24歳から手伝いを始めたが、最初は何も分からなかったので洗い物から始めた。当時は毎日お客さんが来てくれていたが、近隣にスーパーができてからは、びっくりするくらい客足が減った」と話す。それでも、病院や保育園、小売店に商品を卸すなどして営業を続けてきた。

 2020年3月31日、助産師として働いていた病院を退職したばかりの寺田久美子さんが「店を手伝いたい」とやって来た。寺田さんは「市内に住んでいるものの、店のことはほとんど知らなかった。たまたま通りかかって豆腐を食べたところ、『こんなにおいしかったのか』と思った」と振り返る。

 店は求人していなかったが、寺田さんは「自分でも作りたい」「店が続いてほしい」と思った翌日には店の前に立っていたという。みつこさんは「なぜうちなのか。このような優秀な人がうちで働くなんてもったいないと思った」と話す。

 店を手伝いながら、イベントに出店した際には、新商品を販売することもあった寺田さんは、イベントで販売した商品を店でも扱いたい気持ちがあった。みつこさんが売れるか不安に思っていたことから実現していなかったが、数年たち、補助金で新しいガラスショーケースを購入できたことと、寺田さんの説得に根負けしたかたちで実現した。

 新商品は「おからドーナツ」(1袋250円)、「豆乳プリン」「豆乳杏仁(あんにん)プリン」(同350円)、「おからコロッケ」(150円)、「玉こんにゃく」「卯(う)の花」(同1パック200円)、豆乳(500ミリリットル、400円)。

 定番商品は、「木綿豆腐」「絹豆腐」 (1袋350グラム=280円)、「がんもどき」(230円)、「おぼろどうふ」「生揚げ」(同200円)、「油揚げ」(120円)などがある。

 寺田さんは「国産の大豆を使っていて、豆乳が本当においしい。健康の大切さも考慮して作っている」と話す。みつこさんは「他の店もおいしい豆腐を作っている。豆腐というものを残していきたい」とほほ笑む。

 営業時間は9時~17時。 火曜・水曜・木曜のみ営業。

  • はてなブックマークに追加
エリア一覧
北海道・東北
関東
東京23区
東京・多摩
中部
近畿
中国・四国
九州
海外
セレクト
動画ニュース