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所有者不明の歩道橋が取り壊しの危機 調査進み延期決まるも所有者探す

会之堀川に架かる歩道橋

会之堀川に架かる歩道橋

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 春日部市備後西の会之堀川に架かる歩道橋の取り壊し予定の延期が決まったが、埼玉県越谷県土整備事務所(TEL 048-964-5224)は引き続き所有者の情報を求めている。

【写真】修正し、「調整中」と書き加えられた看板

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 近隣住民によると50年以上前から存在していたとされる同橋。人がギリギリすれ違える程度の幅。同川の護岸工事を行う同事務所が、工事を行う際に同橋が支障になることから、取り壊す必要があったため所有者を探したものの、見つからなかった。今年10月に工事を計画していたことから、今月初めに所有者を探している旨を記した看板を川の両端に掲出した。

 看板には、「(前略)このまま所有者が見つからない場合、この橋は工事に合わせて撤去することとなります。橋の復旧を行う予定はありませんので、通行ができなくなります。(後略)」と記されていたことから、目にした周辺の住民は所有者を探すためにSNSで呼びかけたり、近隣の人に聞いたりしていた。

 近隣で事業を営む男性は「小さな橋だが周辺の住民は毎日のように通っている。市や県が所有している橋だと思っていたので、青天のへきれき。知り合いやSNSで所有者を探しているものの、まだ見つかっていない」と話す。

 同事務所も所有者を探し続けていた。取材に対し、担当者は「調べを進め、市の管理でもなく、そのほかの管理下でもないと分かった。護岸工事は必要だが、住民の皆さまのことを考えると勝手に撤去はできない」と話す。

 国土地理院の航空写真で確認したところ、1974(昭和49)年~1978(昭和53)年の写真と現在では、橋の位置が少し変わっていたことに気が付いた。「過去の書類をいろいろ調べたところ、今よりも少し上流にあった橋を、河川改修工事をするに当たり、当事務所が架け替えたと思われる。当時、住民の皆さまが使っているので不便のないようにしたのでは、と推察している。その後、管理者に引き継がれるはずが、どのように引き継がれたのかは分かっていない」と話す。

 これらのことから、同事務所は工事期間や工事内容を再度検討するため、7月22日、前出の文言部分に線を引き「調整中」とした。翌23日には、今後の方向性が決まった。「もともとの所有者はまだ分からないものの、これまでの経緯は分かってきた。住民の皆さまの心配の声を聞いたことも合わせ、再度調整する。いつ決定できるかは分からないが、住民の皆さまが使う橋なので、強引に撤去することはない」と説明した。所有者の情報は引き続き求めており、「情報があれば連絡してほしい」と呼びかける。

 住民は「なくなるかと心配していたが、良かった。一歩前進したので今後を見守りたい。何とか残ってくれるとありがたい」と安堵(あんど)の様子を見せる。

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