特集

【春日部の未来予想図vol.1】
春日部の空を描く画家と撮影し続ける写真家による対談(前編)

  •  

現在人口23万人の春日部市。ベッドタウンとしての認知度が高いが、春日部にしか無いもの・誇れるものがある。人口減少や高齢化などの問題を抱えている事実も踏まえながら、春日部に住んでいる人、関わりが深い人の目を通して、さまざまな分野から春日部の魅力や可能性に目を向けていく。

左から、大久保信子さん、光吉正憲さん、今井洋樹さん

1回目は、春日部の空を描いている市内在住の画家、大久保信子さんと、「春日部の空」と題した写真展を2011年から開いている今井洋樹さんと光吉正憲さんの3人が「春日部の空」について語り合う対談を前編・後編に分けてお届けする。

春日部の空が一番?

―――春日部との関わりについて教えてください。

大久保さん 私は越谷市で育ち、平成8年から春日部に住み、もう23年になりますね。父と夫の仕事柄、転勤が多く国内のいろいろな所に住んできましたが、空は春日部が一番きれいです。

―――さっそく本題に入りましたね。一番、ですか?

大久保さん そうです。例えば日本海側の空の色は暗く見えます。曇りが多いからでしょうけど、海の色も太平洋側の海よりも緑がかって見えますね。雪と合う空色と言いましょうか、和の空ですね。仙台の空は青くて印象的でしたが、太平洋側は空の彩度が高いと思います。

―――そうかもしれません。

大久保さん 春日部は雲の動きが速く、刻々と表情を変えていきます。20代はグラフィックデザイナーとして東京で働いていましたが、子育てをきっかけに春日部にいる時間が増えました。市内で介護の仕事をしていた時、高齢の方が抱える「生きていく上での苦しみ」に向き合う機会が多くありました。根本的な解決ができなくて悩んだりして、うつむくことが多かったんです。そんな時、訪問先の家のドアを開けて外に出た瞬間、目に飛び込んでくる空の美しさや花の美しさに気付き、救われました。

―――辛い現実から助け出してくれたのは自然の美しさだったんですね。

大久保さん そうです。最初は空の写真を撮ってみたのですが、絵の方が美しさを表現できるのでは、と2015年くらいから春日部の空を描き始めました。

武里駅付近 あいぼりの川沿い 「私の街の空 」杉並区の山椿美術館で人気投票1位に。「2018年日本・スペイン国交樹立150周年記念公式イベント」で展示された作品の下図となった作品

―――今井さんはいかがでしょうか?

今井さん 出身は宮代町です。春日部には子どものころから買い物などで来ていました。結婚して一度都内に住んだ後、実家の隣まちである春日部に2005年から移り住みました。もともと趣味で写真を撮っていましたが、仕事でも写真に関わりたくなり、現在はプロラボといわれる写真家向けの写真をプリントする会社に勤めています。

――――光吉さんはいかがでしょうか?

光吉さん 私は福岡県北九州市の出身です。春日部に来たのは2003年ですね。私も趣味として写真を撮り始めました。ネットに、写真家と女優さんが空の写真について話す対談があり、「その年の干支(えと)の姿に見える雲の写真で年賀状を出している」という話から興味が湧いてきたことがきっかけです。

――――写真を始められて、どのようなものを撮っていたのですか?

光吉さん 風景写真が中心です。2005年に撮り始め、2006年からはコンテストで入賞したりして、2010年には波をテーマにした作品で、出版社主催のコンテストでグランプリを受賞しました。

――――すごいですね!

光吉さん 「The Color of Waves」という写真集を刊行し、写真展を銀座とララガーデン春日部店でも開きました。

空に魅了されて

――――翌2011年からララガーデン春日部店で「春日部の空」展を、今井さんと開催するようになり、現在に至るのですね。皆さんが春日部の空に目を向けたきっかけは何でしょうか?

今井さん 空の色がきれいだったり、雲もいろいろな形があったりして引き寄せられるんですよね。気持ちも癒やされるし、自然と撮るようになりましたね。生活の中で作品作りができないかなぁと思うようになって、2008年ごろから空の写真をネットにアップし、同じような空の写真をアップしていた光吉さんと知り合いになったんです。

春日部市 上金崎 庄和 道の駅さくら公園  今井洋樹さん
2018年4月1日 撮影
心地良い風が通り過ぎる中、桜が舞い散るその瞬間を狙って切り取った一枚

大久保さん 春日部の空って、他の地域に比べてドラマチックなんです。色彩に驚くこともありますし。特に夏は変わった雲があって、感動することもあります。去年の8月ごろ、この龍の巣みたいな雲を見たのですが…(携帯の写真を見せながら)。

今井さん その雲、見ました、見ました!(笑)

―――同じ雲を見ていたのですね!

光吉さん 「春日部の空」展の時、お互いの写真を見て、「これって同じ空だよ」っていうことありますね。

市役所に映る夕焼け  光吉正憲さん
2014年7月12日撮影  ララガーデン春日部店での写真展の帰りに市役所前を車で通り、 夕方、空が色づき始め、市役所の窓ガラスに映る姿がきれいであったため車を止めて撮影

(後編に続く)

次回は、「パリと春日部の空は同じ?!」からお届けいたします。

対談場所協力:エス・テラス