現在人口23万人の春日部市。ベッドタウンとしての認知度が高いが、春日部にしか無いもの・誇れるものがある。人口減少や高齢化などの問題を抱えている事実も踏まえながら、春日部に住んでいる人、関わりが深い人の目を通して、さまざまな分野から春日部の魅力や可能性に目を向けていく。
1回目は、春日部の空を描いている市内在住の画家、大久保信子さんと、「春日部の空」と題した写真展を2011年から開いている今井洋樹さんと光吉正憲さんの3人が「春日部の空」について語り合う対談の後編をお届けします。
左から、大久保信子さん、光吉正憲さん、今井洋樹さん
―――同じ空を見ていることも多いんですね。そんな皆さんのお気に入り撮影スポットってあるのですか?秘密じゃなければ教えてください(笑)。
光吉さん エンゼルドームと龍Q館の側の江戸川沿いの土手ですね。360度の景色が見られます。
今井さん 川沿いですね。花が空と一緒に撮れるような。エンゼルドームは、四季折々に花が植えられて良いですよね。
エンゼルドーム前のヒマワリ畑の通路 光吉正憲さん
2014年8月7日撮影 ヒマワリ畑内の通路から空に浮かぶ白い雲を撮影
大久保さん 私は、ウイングハットを背にして春日部に向かっていく通りです。よく夕陽のウォッチングをしています。電線が無かったら良いのにと思うことがありますけど、春日部の味かなと思ったりもします。「春日部らしさ」でしょうね。
―――電線があることが春日部らしさですか?
大久保さん 電線が無いと海外の観光地みたいに見えます。電線があるから春日部になる。以前絵をパリで展示した時、シャルル・ド・ゴール空港を出て景色を見たら、春日部の空と連動して見えたのです。
―――パリの空が、春日部と同じですか!?
大久保さん 私もなぜ似ているのか考えてみたのですが、パリも春日部も建物が低いので空が広く見えるんです。だから地平線の見え方が似ています。いつか春日部の空をパリに展示して、空をつなげたいですね。
―――すごい!ぜひ、お願いします!
春日部河川敷 「蒼い朝」
「2019問道 国際芸術展 東京」で銀賞を受賞した「天照大神」の下図となった作品。
光吉さん 「春日部の空」展などを見てくださった方から、「こんなにきれいに見えるなんて」とか、「春日部じゃないみたい」という感想を頂くこともありますね。
―――どの作品を見てもそう思いました。春日部を魅力的に見せてくださっていてうれしいです。そんな皆さんが、春日部について何か思うことはありますか?
今井さん 小さいころから春日部を見てきて、大きな街だという印象がありました。今では無くなってしまった場所とかあって少し寂しくなってきたけど、活気を取り戻したいですね。駅前が進化していくようなので、そこも期待しながら、でも水田など郊外の自然は残してほしい。自然と共存した街であってほしい。空の写真の中に街並みも入れて、時代の移り変わりを撮っていけたら面白いかなと思っています。
光吉さん 春日部らしさっていう部分で、今井さんが言ったように無くなってしまった建物などもあるけど、春日部らしさを残してほしい。昔からある建物と一緒に空の写真も撮りたいし、蔵とかも残してほしいですね。皆さんに春日部の良いところを見てもらって興味を持っていただけたらと思います。
春日部市 内牧 内牧黒沼公園 今井洋樹さん
2012年7月17 日撮影
雷鳴が轟(とどろ)く中、夕焼けに染まりながら大きく湧き上がった入道雲をハスの花とともに切り取った一枚
―――今年も夏ごろに、ララガーデン春日部店で「春日部の空」展を開催する予定ですよね。大久保さんはいかがでしょうか?
大久保さん 春日部の羽子板などの伝統や芸術も海外に発信していきたいですね。美しい日本文化を発信し、交流していきたい。1月に「2019 問道・国際芸術展 東京」で銀賞を受賞した春日部の川を描いた「天照大神」が、5月に中国の天津で展示されますが、今後も春日部の空もアピールしていきたいと思います。
―――普段あまり見ていなかった春日部の空を、もっと見てみようと思いました。本日は皆さん、どうもありがとうございました。
対談場所協力:エステラス