2020年東京オリンピックの聖火ランナーとルートが12月17日、発表され、春日部市から2人のランナーが選出された。
春日部市在住の公募者469人の中から聖火ランナーに選ばれたのは石原保さん、嶋先麻美さんの2人。聖火ランナーが春日部市内を走るのは7月8日。ルートは、かすかべ大通りの三枚橋会館前から新町橋(西)交差点までの区間。
石原保さんは市内で造園業を営み、毎年5月に行う「大凧(たこ)あげ祭り」には40年以上携わっている。「たこは28歳から作っている。地元で一番の祭り。祭りも好きだが、何よりもたこあげの仲間が好き」と笑顔を見せる。
生まれつき臼蓋(きゅうがい)形成不全で10年ほど前から症状が悪化していたという石原さん。「骨盤の形が変形し、大腿骨側の軟骨がすり減っていたので歩くと痛みがあった。左足が2.5センチくらい短くなっていた。たこあげでは綱を引き、走ることが醍醐味(だいごみ)の一つだが、近年それができず裏方にまわっていた」と話す。
「また皆と走りたいと願っていた」という石原さんは、7月に人工股関節全置換術を受けた。「人工の股関節はセラミック。術後の体調は良く、来年の祭ではまた皆と一緒に走って、たこが引ける。2008(平成20)年の夏季オリンピック招致の時には、たこを知ってもらうために小さな招致だこを作った。聖火ランナーでも『大凧あげ祭り』をアピールすることができたら」と意気込む。
嶋先麻美さんは、春日部共栄中学高等学校で保健体育を教え、女子バスケットボール部の顧問をしている。「当選は予想していなかった。まさか当たるとは思っていなかった。すごい確率で選ばれたと知り驚いている」と話す。
東京都出身で、同校の教員となり春日部に移り住んだ嶋先さん。「スポーツをしているので、単純にオリンピックに興味があった。近年人と人の関わりが希薄になっていると感じていたが、オリンピックは種目について知らなくても、スポーツをしている人を見て感動する場面がある。生徒たちにオリンピックを身近に感じてもらい、興味を持ってもらうきっかけにしたいと思い応募した」と話す。
「当選して、生徒たちも『見に行きたい』と言ってくれる。これからオリンピックに向けて、学校では『聖火ってこういうものだよ』などの話ができたら。身近な人たちとオリンピックを一緒に楽しむことや、共通の話題として盛り上がることもできれば」とほほ笑む。