春日部市は9月1日、災害時の避難所混雑状況をネット上で確認できるサービス「VACAN(バカン)」の利用を始めた。
春日部市はコロナ禍での災害発生時に避難所の密を避けるため、AIやIoTを活用して混雑状況を可視化するサービスを提供する「バカン」(東京都千代田区)と「災害時避難施設に係る情報の提供に関する協定」を締結し、同サービスを導入。
防災対策課の宮本英明さんは「バカンのサービスを知り、有効なシステムであることから導入した。市民の皆さんに、避難時の助けの一つとして参考にしてもらえたら」と話す。
同社が提供するプラットホーム「バカンマップス」では、各避難所混雑状況をリアルタイムで見ることができる。スマートフォンやパソコンからサイトへアクセスすると、地図上に市内68の避難所が表示され、「空いている」「やや混雑」「混雑」「満」の4段階のアイコンで混雑状況が表示される。「自分の位置情報をオンにすると、自分がいる場所から一番近い避難所も分かる」(宮本さん)。
市の広報誌「広報かすかべ」9月号に「バカン」のQRコードを掲載するほか、サイトを市のホームページ「防災」のページにも掲載する。
同サービスは避難所の混雑緩和に加え、市内外の人も利用できることから、スマートフォンやパソコンの使い方が分からない高齢者に、市外に住む家族などが避難所の情報を確認し、伝達することも可能。
宮本さんは「春日部市では地震や水害での災害が想定される。特に最近は全国で水害が起きている。水害時の備えの啓発に努めているが、今回のサービス開始が災害についての備えについて考えていただく機会になれば」と期待を込める。
「避難所に避難することは、災害時の選択肢の一つ。例えば河川が氾濫した場合などは、車中泊や垂直避難などもある。6月に改訂したハザードマップには、水害時に、自分の取るべき個人の避難計画を立てるマイ・タイムラインの説明も載っている。ハザードマップで自宅のリスクを知ってもらい、浸水時に自宅に逃げるのか、避難所に行くのかなど、平時に避難の優先順位などを確認していただければ」とも。
春日部市ハザードマップは市役所の防災対策課や市内各公民館で、「広報かすかべ」9月号は市役所や市内各公民館で入手できる。