マイナンバーカードに記載される住所の表記揺れが問題になったことを受け、「春日部市八丁目」の地名がにわかに注目を集めている。
マイナンバーカードで住所の表記揺れが話題になり、6日、ツイッターで「住所の正規化」がトレンド入りした。ツイッター上では、マイナンバーカードについての意見や、どうすれば正しい住所が登録されるのかなどについての投稿に加え、混乱しやすい住所もいくつか挙げられ、その中に「春日部市八丁目」があった。
春日部市の中心市街地にある、「春日部市八丁目」。通常の住所における「何丁目」の表記ではなく、固有の地名。同地名に対しツイッター上では「町名が抜けているのかと思った」「混乱した」「イレギュラーな住所」などのコメントが見られた。どのようにしてこの地名になったのか。
春日部市郷土資料館(粕壁東3)には、「八町(丁)目」と記載されている、地元に伝わる古文書が収蔵されている。同館の学芸員榎本博さんは「少なくとも1640~1650年ごろにはこの地区は『八町目村』と呼ばれていたようだ。八町目村に加え、八丁目村と記載されているものもある」と話す。
「俗説では、距離の単位『町』のことで、どこかからの距離を示していたとか、面積を表す単位『町』に、年貢を免除する『免』が『目』に転じて加わり八町目になったなどの話もあるようだが、残念ながら実際の由来は不明。『町』は略字の『丁』としばしば併用され、江戸時代から明治10年ごろまで『八丁目村』と『八町目村』の両方の表記が確認できる。理由は不明だが、近代の行政区域の編制のなかで『八丁目』の表記が採用されるようになり、現在の表記に統一されていったのではないか」とも。
同地域は、江戸時代は「武蔵国葛飾郡八丁(町)目村」と呼ばれ、1889(明治22)年には、7カ村が合併して幸松村となったことから「埼玉県北葛飾郡幸松村大字八丁目」となり、1954(昭和29)年に、1町4村が合併し春日部市になったことから、現在と同じ「春日部市八丁目」になった。
同地域の住民は「昔はよく、市外の人に住所について話をしたり、記入したりした際、八丁目のほかに何かあるのではと言われることが多かった」と話す。
榎本さんは「日光街道と共に歴史を紡いできた、市内でも歴史のある地域。地域住民の方でも間違えて『八』を『8』と記載しているのを見たことがある。新規に入居してきた方などは勘違いしている人もいるのではないか」と話す。