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春日部の家族経営スーパーに長蛇の列 きょうだいコラボで経営難に一筋の光

(左から)塩浦朗社長、総菜部の河内みどりさん

(左から)塩浦朗社長、総菜部の河内みどりさん

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 春日部のスーパー「みどりスーパー」(春日部市米島、TEL 048-746-1100)で11月6日、蒸しオオズワイガニ目当ての客が殺到し、20年ぶりに長蛇の列ができた。

【写真】蒸したオオズワイガニ

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 10月30日、同スーパーは、オオズワイガニを市場で大量に仕入れ、蒸して販売。Xに販売の様子などを投稿していた。今年はオオズワイガニやズワイガニが豊漁なことから、メディアにも取り上げられ、次にオオズワイガニを販売した11月6日には30人ほどの列ができた。7日・8日は50人以上の列ができ、電話の問い合わせも殺到したという。

 社長で鮮魚担当の塩浦朗さんは「これまでオオズワイガニは小さかったのでみそ汁に入れる感じだった。ここ2カ月くらいで大きくなったが、生のまま販売しても一般家庭では持て余してしまうのであまり売れない。姉が部長を務める総菜部に相談し、スチームコンベクションオーブンで蒸して販売したところ、爆発的に売れた」と話す。

 同店がオープンしたのは1972(昭和47)年。当初は干物や乾物を扱っていたが1970年後半に野菜や鮮魚の販売を開始。調味料や卵、鮮魚の安売りの日や年末は長蛇の列ができていたものの、2003(平成15)年ごろに周辺に大手スーパーができたことから状況は一変した。

 塩浦さんは「近隣に複数のスーパーができ苦戦が続いている。鮮魚は10年前に比べると、60%を越える仕入れ原価。販売価格にそのままのせられないので、値上げは少しだけしかしていないため赤字が続いている」と話す。

 「長蛇の列ができたのは20年ぶりくらい。カニよりもお客さまの数が多かったので、どうなるかと怖かった。1杯950円と、カニとしては安く販売したが、激安商品ではないので、『カニで人が並ぶのか』とうれしかった」とも。

 塩浦さんは、仕入れ先の市場関係者に、『他の店にもスチームコンベクションオーブンなどを使って加工して販売することを提案してみては』と伝えたという。「通常の店は部門ごとに分かれているため、当店のように目利きして、その日良いと思ったものを大量に仕入れ加工して売る、ということがなかなか難しいと聞いた」と塩浦さん。

 総菜部長の河内みどりさんは「今回はきょうだいコラボで、家族経営の良い部分が出たと思う。大手にはできない機動力を生かせた。がむしゃらにやっているところで一筋の希望の光が見えた」と話す。

 これまでは生きの良さをアピールするために生で販売することが多かったが、今後は、生のアジやカキなどの鮮魚をフライや唐揚げ、蒸し焼きにするなど加工販売にも力を入れていくと言う。

 塩浦さんは「生でも長く置いておくと味が落ちる。朝、競り場に並んでいた鮮魚が、昼にはフライや蒸すなどして食べられるイメージ。埼玉県は海の近くではないが、多くの人においしさを知ってもらい、日本の水産業が盛り上がってくれたらうれしい」 と願いを込める。

 次のオオズワイガニの入荷日は未定。

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