春日部の茶製造販売「おづつみ園(春日部市粕壁2)」が2月29日、自社カフェの空きスペースを、従業員の子どものために日中開放し、昼食を無料提供すると発表した。
明治元年に有機肥料による自園自製の手もみ茶製造を開始し、1960年(昭和35)年に3代目尾堤英雄さんが茶の小売専門店「おづつみ園」を開いた。現在市内に小売店4店とカフェ「茶寮 はなあゆ」(中央2)を開き、2月21日に5周年を迎えていた。
4代目の尾堤宏社長は、「お茶を売っていたが、良さは伝えていなかった。店で売っているお茶をおいしく飲んでもらうため、また自分の家でも飲んでみたいと思ってもらえるように、カフェを開いた。お茶はコミュニケーションの道具でもある。おいしいお茶を入れるだけではなく、一緒の時間を過ごし、そこからいろいろなことが始まる場を提供したいとも思った」と話す。
店で販売するお茶をはじめ、お茶を使ったデザート、化学調味料を使わないお茶漬けやカレーなどのメニューを提供する。1階はカウンター2席、テーブル席16席、2階はテーブル席12席、ソファを備える。2階は、1階が満席の場合に使うことに加え、フラワーアレンジメント教室や写真教室、リンパマッサージなどのイベントに使っていると言う。
新型コロナウイルス感染症対策のための小、中、高等校と特別支援学校などの臨時休校を受け、「27日の夜ニュースを見て、子どもたちが行き場が無いこと、親が仕事に出られなくなることについて考えた。他県で働く息子からも相談があった。いろいろ考えた末、自分に関係のある人だけでも救うことが出来たらと思い、カフェ2階のイベントスペースを開放することにした」と尾堤さん。
同社従業員22人のみが対象で、従業員の子どもに対し日中はカフェ2階を開放し、昼食や飲み物、菓子を出す。この内容を29日朝、フェイスブックやツイッターで公表した尾堤さん。「従業員の子どもやその家族の子どもや孫が対象で、数人しか利用しないかもしれない。だが、この地域や日本全国でより多くの会社が同じようなことができたら、安心して働くことができる人が増えると思い公表した」と話す。
公表後すぐに福島県、栃木県、愛知県の日本茶販売店茶屋などをはじめ問い合わせが来ていると言い、栃木県佐野市の農業と飲食の会社では、同じことを実行すると言う。「SNSにアップするに当たり、どのように捉えられるのかが気になったが、ほかの経営者も同じように感じて行動してもらえたらうれしい」と笑顔を見せる。