麦わら帽子などの製造販売をする「田中帽子店」(春日部市赤沼、TEL 048-797-8391)で、麦わら帽子製作工程の一つ「麦わら帽子の寒干し」が行われている。
1880(明治13)年創業の同店は、日本人の頭に合う100種類以上の木型を保有し、麦わら製の帽子やラフィアや麻などの天然草の帽子も手掛け、ウールフェルトハットなど冬用の商品も製造している。
毎年9月ごろ、来年販売分の麦わら帽子を縫い始め、湿度が低く空気が乾燥し始める10月中旬以降から帽子を外に出し、2~3時間程度天日干しして乾燥させる。1日に100個~200個ほど干すと言う。
6代目の田中優社長は「7~80年前から行っている工程。外に干し乾燥させることでカビの発生を防ぐためと、手縫いした『麦わら真田(さなだ)』の編み目が締まり、帽子が型崩れしにくくなる」と話す。今年は11月初旬までに3000個以上の寒干しを行った。3月ごろからリボンを縫い付けるなどし、出荷準備をする。
田中社長は「今年は一番帽子が売れる時期が緊急事態宣言発出時と重なり、業界には大打撃だった。当店は通販基盤があったので、なんとか乗り切れた」と明かす。
「年々シンプルな帽子を求めるお客さまが増えている。キャンプが流行っていることもあり、キャップ型の麦わら帽子などカジュアルなものが好まれる傾向もあると思う。キャップ型はアウトドア向けで手に取りやすい価格でもあり、新作もある」とも。