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越谷の甲冑メーカーがデザイナーと連携し「甲冑時計」 伊達政宗の世界観を表現

大越保広さん

大越保広さん

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 伝統工芸江戸甲冑(かっちゅう)メーカー「大越忠(おおごしちゅう)製作所」(越谷市神明町1)が現在、「甲冑時計 伊達政宗」の生産・販売に向けたプロジェクトを進めている。

部品展開イメージ。伊達政宗の三日月型の前立てをイメージした秒針

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 創業1964(昭和39)年の同社はブランド名「忠保(ただやす)」として、五月人形の甲冑を制作している。社長の大越保広さんは「節句文化の衰退や少子化などから人形を飾る家が減っている。どうしたら甲冑技術を残していけるのかと、ボトルキャップやネクタイピンを開発するなど模索している中、商品デザイナーの田口裕介さんが甲冑時計を作らないかと提案してくれた。デザインが斬新で面白そうだと思った」と振り返る。

 田口さんが、国産時計メーカー協和精工(秋田県雄勝郡羽後町)にも声を掛けて商品開発した。大越忠製作所は時計のベルト部分を制作している。大越さんは「ベルト部分に甲冑の袖をイメージした。通常甲冑の袖は固定されていないが、ベルトに表現する際、一部を固定しないと文字盤が傷つくので、鋲(びょう)で留めるなど動かないようにするためにどうしたらよいか試行錯誤した」と話す。

「通常の兜(かぶと)の小札(こざね)よりも幅が狭く、細い糸を使うため、熟練した職人にしかできない。最高級の技術で作った」とも。

 価格は16万5,000円。予約販売でなければ生産への投資ができないため、クラウドファンディングサイト「Makuake」で9月5日から注文受け付けを始めた。

 大越さんは「ビジネスはある意味、戦いだったりすると思う。昔の人は甲冑を着て戦いに行った。現代の人でも大事な時に甲冑を着るに代わりに甲冑時計を身に着けてもらうことで、ビジネスの戦いに勝つなどの後押しができたら」と話す。

 「年々節句文化が縮小されていってしまうという危機感がとてもある。甲冑時計を入り口として、五月人形や甲冑に興味を持ってくれる人が増えたら。甲冑時計を作ることで、今持っている技術を次世代に受け継いでいきたい」と期待を込める。

 受け付けは11月29日まで。目標金額を達成しなかった場合は実現されない。成立した場合は1月下旬に生産を開始し、4月中旬~5月下旬に商品を届ける予定。

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