武蔵野美術大生2人と東京家政大学生8人が美術の楽しさを子どもたちに伝える「黒板ジャック」が3月4日、春日部の中野中学校で行われた。
武蔵野美術大学では、学生が全国各地の小中学校を訪れ授業を行い、美術の楽しさや多様性を伝えるとともに、学生自身のコミュニケーション能力やファシリテーション能力の向上などを目指す取り組み「旅するムサビプロジェクト」を2008年から行っている。
プロジェクトには、学生が制作した作品を持参し、児童や生徒たちと対話して鑑賞する「対話型鑑賞」、黒板にチョークで絵を描き小中学生を驚かせる「黒板ジャック」などがある。今回は同中学校卒業生が黒板ジャックを企画し、10クラスの黒板に絵を描いた。
卒業生の藤縄有紀さん(武蔵野美術大2年)と伊藤奈美さん(東京家政大2年)は、昨年ほかの学校で行われた同プロジェクトで再会。母校である中野中学校が統廃合されると知り、「母校のために絵を描きたい」と意気投合した。2大学は連携して同プロジェクトを行うこともあるため、藤縄さんは武蔵野美術大に、伊藤さんは中野中学校に掛け合った。
学生たちは、絵を描くため前日に校舎を訪れ、約8時間かけてそれぞれが考えたテーマを描いた。藤縄さんは「学校がきれいになっていた。統廃合で知らない生徒と一緒になるなど不安もあると思うが、楽しい気持ちで学校生活を送ってほしいという思いを込めて描いた」、伊藤さんは「楽しかった思い出がよみがえった。やりたいことがあったら『これやりたい!』と声を上げれば、周りの大人も助けてくれる。今回たくさんの人が力になってくれ、実現してうれしい」と笑顔で話した。
4日の朝、何も知らされず教室に入った生徒たちは「何これ」「すごい」などと声を弾ませ、「全部見てくる」と、ほかの教室に向かうなどしていた。朝の会で、学生らが同プロジェクトについて説明。生徒からは「時間がかかって大変そう」「すばらしいと思う。ありがとうございます」との言葉が掛けられた。
4月には中野中学校と谷原中学校が統合され、中野中学校敷地内に新しく春日部南中学校が開校する。