現在人口23万人の春日部市。ベッドタウンとしての認知度が高いが、春日部にしか無いもの・誇れるものがある。人口減少や高齢化などの問題を抱えている事実も踏まえながら、春日部に住んでいる人、関わりが深い人の目を通して、さまざまな分野から春日部の魅力や可能性に目を向けていく。
2回目は、UターンやIターンなどで春日部に在住し、春日部を拠点として仕事をしている3人が、それぞれの働き方や考え方、春日部について語り合う対談の後編をお届けします。
(左から)梶直輝さん(28)・鈴木将平さん(26)・森田啓介さん(29)
梶 僕は人と関わる時、否定しないことが大事だと思っていて…。
――――それはどんな時でしょうか?
梶 何か新しいことをやってみようとしている人がいるとして。前例の無いことだったりすると否定する人がいるけれど、僕は「やってみたら?」と一回受け取ります。その人が経験したことがないのにそれで否定するのは違うと思うし、思いを受け止めてあげることが、相手の推進力となることもあるし…。
――――前例がないことだと否定的になることは多いかもしれませんね。
梶 「自分の人生に責任を取る」ということにつながると思います。ビジネスでも何でも、リスクが少ない方を取るという気風があるけれど、リスクのとらえ方が違う気もしていて…。本来のリスクの意味は危険性ではなく、変動性。そういう意味では、僕はリスクがあっても良い。変わっていくことが当たり前だと思っているので…。
――――「変わらないでいること=安定」という捉え方が多いかもしれません。
鈴木 同じ「教える」でも、今は有名講師の動画で勉強することもできる。形通りに教えるのなら動画でもいいわけで。違う観点で向き合って変化していくことが必要だと思います。
梶 そう。変化を楽しむ。
森田 プロはよく同じやり方を続けることもあるけれど…。
梶 「伝承」と「伝統」は違う。伝承が古くからのものをそのまま後世に伝えていくことで、伝統は同じ技術や材料を使いつつも新しいことに挑戦し革新していくもの、という意味だから、伝統は守るだけではなく、変化していっていいと思う。
―――「多様性」や「変化」が、これからの働き方のキーワードなのかもしれませんね。今後はどのように働いていきたいですか?
梶 金融機関で働いている時に、祖母の死に目に会えなかったんです。それをとても後悔していて…。会いたい時に会いたい人に会える生き方をしたいと強く思いました。それと、日本一周を達成した時、全く達成感が無かったんですが…。
――――えっ?「日本一周したぞー!!」みたいな喜びとかもですか?
梶 はい。やっぱり一人だと楽しくない。大好きな人たちと笑い合えることが楽しいし、面白い。だから仕事でも、人と接する中で、例えば店を経営している人がいたとして。宣伝が足りないなら写真や動画でその店の魅力を伝えるとか、問題解決できる人を紹介するとか、自分のできることを尽くす。課題を見つけて解決していくことなどで仕事を生み出していきたいです。
鈴木 中高生でも多様化が進んでいくと思うので、そういう人のサポートもしたいですし、パラリアが僕のような考え方を持つ教員志望の人たちの受け皿でありたいとも思います。個人的には、自分の経験から、教員志望の大学生のためのコーチングなどもしていきたいですね。
森田 クリエーターとしてKILTA春日部で働きながら、得意なことを生かして働くということを、自分が実践して体現していきたい。みんなが得意なことを仕事にできる場所にしたいです。
梶 俺の背中を見ろ!みたいな(笑)
鈴木 まさに職人ですね(笑)
――――何だか皆さん、新しいカタチの働き方や考え方をお持ちです。これからは、住む場所を問わず、そうした働き方が主流になりそうですね。春日部についてはどう感じていますか?
梶 春日部にも、感覚が新しくて面白い会社ができてきていると思う。東武沿線が元気になっているので、数年後にはかなり変わるのではと感じています。まだ多様性を受け入れないような感じを受けるときもありますが、外から来るものにも寛容になってくれたらと思います。新陳代謝も必要だと思いますし…。観光地というよりは、まずは市民が住みやすい街づくりというか、土日も春日部で楽しめるような…。「春日部だからできること」を増やして、魅力や特徴を生かすまちづくりをしていけたらいいのではと思います。
鈴木 春日部で5月、起業体験ができる「Startup Weekend」というイベントがあり、参加しました。結構人が集まって、若い人が新しいことに挑戦でき、サポートもしてもらえる土壌があると感じました。
森田 まちが無機質だと感じたこともあったけど、数百年続く米屋さんもあったりして、歴史もあるから掘り起こしていけたら。アートや芸術を取り入れながらまちづくりできたらいいと思います。
―――――これからの春日部に、より可能性を感じました。皆さん今日はありがとうございました。
対談場所:Kitchen shoku bar Village