おむすびをメインにランチを提供するカフェ「おむすびcafe 空と糸」(春日部市粕壁東1、TEL048‐628‐0919)が12月9日に開店した。
幼稚園の教諭や幼児教室で食育インストラクターとして働くなどの経歴を持つ店主の長島真理子さんは、「子どもの頃はあまり食べられない子だった」と言う。「家では少量だが食べられた。好き嫌いは無いのに幼稚園のお弁当は一口くらいしか食べられず、小学校の給食も嫌いだった」と振り返る。
幼児教室で働いていた時に、幼児と一緒に昼ご飯作って食べるクラスがあった。「一緒に商店街で食材の買い物をすることや、キュウリを折るなど、幼児が自分で1つ手を加えると、食べられない子でも食べるのを見てきた」と長島さん。
高校生の時、「これが食べたい」と目的を持つことで食べることが楽しくなり、人並みに食べるようになった長島さん。さまざまな仕事に携わる中で食にまつわることが「楽しい」と感じ、食育を学んだ。「食育を伝えることが一番ワクワクする。食育とは、何をどう食べるかということを学ぶこと」
「食べることが苦手だったが、食べられない原因が好き嫌いだけではないことを知ってほしいと思っていた。トラウマや咀嚼(そしゃく)、見た目などの理由で食べられないこともある。自分の視点でお客さんに伝えることができるし、料理も好き。食べることを通して何かを発信できる現場が欲しかった。皆で一緒に食べるとおいしく感じるので、そのような空間も欲しいと思い店を開いた」と言う。
席数は座敷8席、テーブル9席、カウンター2席。メインメニューはおむすびで、食材は旬のものや地産地消のものを多く使い、米は市内の野口農園の特別栽培米、みそは自家製。ランチは、塩のおむすび1つ、日替わりのおむすび1つ、日替わりの総菜3種とみそ汁が付いた「おむすびプレート」(800円)を提供。それぞれ単品でも頼むことができる。
「おむすびは発達につながる手づかみ食べを学ぶことができる。白米の自給率は100%だが、情勢が変わって農家がお米を作れなくなったら、食べるものが無くなってしまう。普段から農業を守るというか、米の消費に参加していたいという思いもある」と長島さん。
「不定期だが夜も開いていて、つまみや軽食とお酒、締めに一杯のみそ汁をサービスで付けている。今後は、子どもの料理教室や、離乳食作りなどの食のワークショップもたくさん開きたい。『おかえり』と迎え、『ただいま』と言ってもらえるような空間となれば」とほほ笑む。
営業時間は11時~14時。日祝定休。