製靴店「SUI(スイ)」(春日部市南4)が1月23日に1周年を迎える。
女性用の靴を主に製造販売している同店。店主の清水拓さんは、高校生の頃から古着や靴に興味を持っていた。「高校生の時にアメリカに古着を買いに行った。知り合いのバイヤーさんに店に連れて行ってもらうなどした」と言う。高校卒業後は、ワーキングホリデーでカナダに行き、庭師として働いた。
「日本人がオーナーで、日本庭園などを造り、日本領事館なども手掛けた。庭はずっと残るもの、自分も物として残る仕事がしたいと思った。家具職人になるか靴職人になるか迷ったが、靴職人になることにした」と振り返える。
和歌山県出身の清水さんは、知り合いに紹介されたドレスシューズなどをメインに製靴し全国に卸している神戸の製靴店を訪ねた。「オーナー兼職人の方は寡黙で、シンプルに好きなことを一貫して続けていた。仕事への姿勢がかっこいいと思い、すぐにそこで手伝いから始めた」と言う。
2年半の修業後、「量産の製造が知りたい」と、さいたま市にあるOEMを手掛ける製靴店に就職し、営業と企画を経験。会社勤めの傍ら、後に自身の店舗兼工房となる物件に住みながら製靴を続け、2019(平成31)年1月23日に自身の店を開いた。
「女性の靴はデザインの幅が広く、自由度が高い。履いた時の足の甲の見え方、肌の露出具合を特に意識して作っている。足が奇麗に見えるような作りにし、そのデザインに合った素材選びをする」という清水さん。
主に使っている素材は革の表情が出やすいという、表がヤギ革で裏が羊革のもの。定番の「バレエシューズ」(23センチ~25センチ)(1万8,000円)や、「ローファー」(牛革、2万2,000円)などを販売し、季節や仕入れなどにより違う素材の靴も製作するという。
「昨年はイベント出店に焦点を絞っていたが、少しずつ知名度が上がってきた。色違いで購入してくださる方などもいてうれしい。周りに縫製職人や裁断屋などがいるが、国内の靴の産業は衰退してきているので、自分の周りの人たちだけにでも自分が仕事を振っていきたい。今27歳だが、同じ年代くらいの人たちと盛り上げていけたら」と笑顔を見せる。
営業時間は12時~20時。営業日は水曜・日曜(イベント開催時は休み)。