太陽光発電の「固定価格買取制度(FIT)」終了後の余剰電力使用の選択肢として電気自動車を提案し、国内外の自動車メーカーの電気自動車を販売する電気自動車専門店「EvCArS(イーヴイカーズ)」(春日部市中央3、TEL048-796-8542)が1月22日、オープンした。
家庭用太陽光発電の余剰電力は、2009(平成21)年に始まった一定期間固定価格で買い取る、国の再生可能エネルギー固定価格買い取制度の対象。制度開始時は48円キロワット時で電力会社に買い取られていたが、買取保証期間である10年がたつ2019年11月から順次満了となる。
同社の佐久間竜一社長は「満了後も各電力会社が定める価格で買い取ってもらうことができるが、その買い取り単価が例えば東京電力では、8.5円キロワット時となり、制度初期は48円で売電していたのと比べると大幅に安くなった。太陽光設備を備えたオーナーから余剰電力の活用方法が知りたいなどの相談を受けている」と話す。
買取期間が満了した家庭は、現状の価格で売電するか、売電先を変えるか、高額な蓄電池などを買ったり借りたりして自家消費するかの選択肢に加え、「電気自動車を蓄電池代わりにするという選択肢もある。電気自動車に電気を貯める装置があれば、電気自動車の電気は家庭用に使えるほか車に蓄電し、もちろん車として走ることもでき、有用性が高いので、そのサービスを提供できる店を開いた」と言う。
「家庭用の蓄電装置は買うと高額なため、貸し出す定額利用サービスもご案内できるが17キロワット時までしか蓄電できない。家庭の一日の使用電気は平均で10キロワット時なのでおよそ2日分。電気自動車だと、例えば日産リーフは年式によるが40キロワット時~60キロワット時蓄電しておくことができ、4日~6日分くらいになる。インフラが止まった時に使うことも可能」
「最近自然災害が多く、昨年10月の台風の時は、停電になった千葉県に電気自動車を持ってきたかったが、まだサービス準備段階だった。蓄電の装置も一日で設置できるので、役に立つことができたのに歯がゆい思いをした」と振り返る。
同社で取り扱う車は全て試乗できる。現在は日産「リーフ」、7人乗りの「e-NV200」、BMWなどがあり、今後はテスラモータースの「モデルX(エックス)」「モデル3」も取り扱う予定。顧客の要望に合わせ、同社が全国からオークションなどで取り寄せる。
「今後5年で自動車業界も電動化が加速していくと思うし、地球環境のために自然エネルギーを安定供給させるためにも、電気自動車を普及させたい」と力を込める。