春日部のパン店「Boulangerie Aile Porc(ブーランジェリーエルポール)」(春日部市藤塚、TEL048-797-6369)が4月20日に6周年を迎える。
約3坪の店内にハード系のパン、デニッシュ、菓子パン、総菜パン、サンドイッチ、食事用のパンなど約100種のパンが並ぶ同店。店主の森将雄さんは、18歳から大手ベーカリーに勤め、商品開発や新規店オープンなどで全国を飛び回っていた。
2008(平成20)年38歳の時、心臓病を患う。「特発性拡張型心筋症で、発覚した時はステージ4だった。いつどうなるのか分からない病気」と森さん。会社では現場の仕事から衛生管理などの部署を任されるようになった。
「現場でずっとやってきたので、このままこの職務を全うするのは自分には向いていない。会社は好きだったが、部下の方が仕事が出来ると思ったし、自分ではなく有能な人が役付きになるべきだと思った。体の中に植え込み型除細動器が入っているため、病気の性質上就けない仕事もある。自分に何ができるのかと考えたら、パンを焼くことだった」と森さん。
2014(平成26)年4月、結婚を機に移住していた夫人の幸枝さんが生まれ育った春日部で同店を開店。「2年ほどは、店内に並べたパンの半分くらいが残ることもあったが、作る楽しさがあり苦にならなかった。お客さんが来てくれれば、そこに向かうしかない」
「会社に勤めていた時は、春日部に知り合いはいなかった。配達時にお客さまが手を振ってくれるなど、たくさん知り合いができた。口コミやいろいろな方との出会いでお客さまが来てくれるようになった。体が辛い時もあるが、お店を開いて良かったと思う」と話す。
パンには、自家製発酵種を使う。1つの生地に対して複数の種を合わせる。小麦粉も、粉の特徴により複数の小麦粉をブレンドして生地ごとに使う。「味に余韻が残るように、複数の種を合わせる。同業の方には非効率だと言われるが、生地は20種くらい作っている」と森さん。
店のコンセプトは「最高のまちのパン屋」。10時過ぎには、3坪の店内に約100種のパンが所狭しと並ぶ。「売れなくなる商品は入れ替えをしていて、6年間で1000アイテムくらい無くなっている。『これがお薦めのパンです』というよりも、お客さまの好きなパンを見つけてほしい」と笑顔を見せる。
新型コロナウイルス感染症対策として、入り口には「3密」を避けるために混雑時は外で待つことを案内する貼り紙や、店内に消毒用のアルコールを設置。個装できるパンは個装するなどの対策を行う。
「店は狭い道路沿いにあり、駐車場は1台しかないので、できれば徒歩などで来店してくれるとありがたい」とも。
営業時間は8時30分~無くなり次第終了。月曜・火曜・水曜定休。