春日部にある「とんかつ一幸(いっこう)」(春日部市中央5、TEL 048-736-7835)で提供している「アロウカナババロア」が注目を集め、都内の百貨店でも販売される。
1980(昭和55)年1月創業の同店。店主の玉井一幸(かずゆき)さんは、フレンチに6年半携わった後、豚カツ店を開業。子どものころ、夏休みにはレストランを営む親戚の家によく泊まりに行った。「かつ丼やラーメンが有名な人気店。毎日のようにかつ丼とラーメンを食べていたが、飽きないおいしさだった」と玉井さんは振り返る。
地元に愛される店を見て育ったことと、手に職を付けたいという思いから、調理師学校へ進み、東京にある豚カツ店「井泉」でアルバイトをする日々。卒業後はフレンチの道に進んだが、元々独立を考えていた玉井さん。フレンチは一人で調理するのが大変であることや、「井泉」創業者が「これからは専門店の時代」と言っていたこともあり、子どものころから好きだった豚カツ店の開業を決めた。
みそ汁のみそは手作りのものと市販のものを合わせ、肉は余分な脂肪や肉を切り取る「肉を磨く」作業をするため全体の2割を削るという。「切って中を見て、仕入れた肉を返すこともある」など、素材にこだわりを見せる玉井さん。豚カツ店として根付いている中、アロウカナという南米チリ原産の鶏の卵を使った「アロウカナババロア」が、5月に発表された日本経済新聞の「ババロアランキング」で、豚カツ店ながら全国5位となった。
「持ち帰りたい」「送ってほしい」などの要望があり通販も行っているが、12月27日には、西武池袋店「行列のできるスイーツフェア」で販売。「豚カツもババロアも、おいしいものを作ろうと思っていたら、どんどん広まった。厳しく助言してくれる常連客もいて、まるで親戚のように感じ、とても感謝している」と話す。
アロウカナババロアは、単品で348円(税別)。平日昼に、1,400円以上の定食を注文した女性客にはサービスで付けているが、無くなり次第終了。
営業時間は11時30分~14時、17時30分~21時。木曜定休。