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春日部駅の住所は粕壁と書いて「かすかべ」 ゼンリンのSNS投稿がにわかに話題

ゼンリンが投稿した地図

ゼンリンが投稿した地図

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 ゼンリン(北九州市)が公式X(旧ツイッター)に投稿した春日部駅の住所「粕壁(かすかべ)」が現在、SNSで話題を集めている。

1415(応永22)年の古文書に「春日部」の表記がある

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 地図情報の調査や製作などを行うゼンリンが埼玉県民の日の11月14日、「#埼玉県民の日なので、埼玉の地名小ネタを1つ置いておきます。春日部(かすかべ)駅の住所は『埼玉県春日部市粕壁(かすかべ)』なので覚えておいてほしいゾ」と投稿。426件のリポストと1483件のいいねが寄せられた。

 同社X公式担当者は「当社の公式アカウントでは『地図を読む楽しさ』を発信するようにしている。全国の面白い地名などを記念日などに合わせて紹介することもある。私は埼玉県出身で、学生時代に春日部駅を何度も利用した当時、春日部なのか粕壁なのかと疑問に感じたことを思い出し、埼玉県民の日に合わせて投稿した」と話す。

 投稿に対し、「知識が増えた」「埼玉ネタが取り上げられてうれしい」といった反応が見られたほか、同社が参考に投稿した地図には、同駅高架化関連工事で既に取り壊された建物の記載などがあったことから、次回の改版時には現状を反映してほしいという声も寄せられた。

 寄せられた声に対し、担当者は「ゼンリン住宅地図は、一軒一軒の建物の名称や居住者名、番地が大縮尺の地図上に表示された地図で、全国1741市区町村分を製作・整備している。調査方法は、個人宅、商業施設やビル、道の形状まで、街中のあらゆる公開情報を徒歩と目視で確認し、地図上に反映している。更新頻度は、都市部は1年に1回、それ以外の地域は2~6年に一度。全国の地図を整備・更新しているので出版サイクルはそれぞれ異なる」と説明する。

 「春日部」「粕壁」の表記について、春日部郷土資料館の学芸員・榎本博さんは「駅ができた1899(明治32)年当時は『粕壁駅』だったが、戦後『春日部駅』になった」と話す。「しかし、表記として古いのは『春日部』。1336年に記された古文書には『春日部』と書かれている。その後、戦国時代や江戸時代に『糟ケ辺』『糟壁』などいろいろな漢字が当てられるようになった」とも。

 「江戸時代中頃から段々と『粕壁』に定まりはじめ、宿場町としては粕壁宿と書くようになり、明治時代の町村制で粕壁町が生まれた。1944(昭和19)年に粕壁町と内牧村が合併して『春日部町』になり、さらに1954(昭和29)年には周辺地域と合併し『春日部市』が誕生。以後、春日部が広く使われるようになっても粕壁は、市内の地名として今でも残っている」と榎本さん。何気なく使ってきた2つの地名表記について、歴史をひもときながら説明してくれた。

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