越谷在住の女性2人が現在、キッチンカーを使った子ども食堂を開設するプロジェクトに取り組んでいる。
8年前に子ども食堂「こども食堂ぽらむの家」(越ケ谷本町8)を開いた青山享美さんと、越谷市内で母親向けのマルシェイベント「神社でままマルシェ」を主催する増田具子さんが、子ども食堂の抱える課題について考えるうちに、移動式の子ども食堂運営を思い付いた。
青山さんは一人親で、以前は都内で働いていた。料理が苦手だったことから、ふがいない母親だと感じていたという。越ケ谷本町に子ども食堂を開いた背景について、「自分が子どもの頃に接した、料理を手際よく作ってくれた母親がいたり、たくさん作ったからと分けてくれるような近所付き合いができたりする場所があれば、自分もほかの一人親も気持ちが楽になるのではと考えた」と振り返る。
キッチンカーを使った子ども食堂については、「日々、頼ってくれる子どもたちがいる。片道1時間歩いて来ていた子どもがいたが、冬は寒いし、夜は暗く危ないということで、1人では行かせられないと親から断られたことがあった。それならこちらから行けばいいと思ったことがきっかけの一つ。子どもたちに温かいご飯を食べてもらいたいし、学校の先生や親だけではなく、困っている時に頼れる人はほかにもいると知ってもらいたい」と話す。
キッチンカーには、越谷東ロータリークラブから寄贈してもらった軽トラックを使う。クラウドファンディング「キャンプファイヤー」で集めた資金で、ボックス部分と厨房(ちゅうぼう)機器を購入する。
1月25日から始めたクラウドファンディングは、開始36時間で目標金額200万円を達成し、30日には300万円に達した。増田さんは「開始するまで、このアイデアが必要とされているのか不安だった。ふたを開けてみれば、必要だからやりなさいとたくさんの人が背中を押してくれた。駐車場を使っていいとか、イラストを描いてくれるとか、体験企画を提供してくれるとか、応援の声もたくさんある」と話す。
キッチンカーの稼働開始は5月上旬を予定。まずは月に1回から始めるという。ゆくゆくは、毎日キッチンカーを走らせ、市内に30ある小学校の学区のいずれかで食事を提供したい考え。さらに、野菜や米など必要な物の移動販売や、学習支援ができる場所にしたいなど、夢は膨らむ。
青山さんは「子どもは一人で育てなくてもいいと思う。人に頼ってもいい。育休で家にこもっているお母さんたちや、高齢の人、学生など、それぞれの地域の人を巻き込んで、『誰でも食堂』にしていけたら。資金が多く集まっていて、こんなに温かい大人がいるのだと感動した。子どもたちにも、この温かさに触れてもらいたい」と笑顔を見せる。
クラウドファンディングは2月29日まで受け付ける。