2009年から詳しい調査が行われている春日部「神明貝塚」の調査結果を紹介する企画展「ここまで分かった!神明貝塚と縄文人のくらし」が現在、春日部郷土資料館(春日部市粕壁東、TEL 048-763-2455)で開催されている。
「海無し県」と名高い埼玉県。しかし今から約1万2000年前の氷河期後は温暖化が進み、海面が現在の内陸部よりも奥深くに入っていたため、春日部の中心部にも海が広がっていたとされる。
春日部市の北東部、西親野井地区にあり、現在も田畑には白い貝殻が散らばっている神明貝塚。作られたのはおよそ3800年前とされ、その頃は海岸線が草加市付近まで退き、淡水と海水が交じり合う汽水(きすい)域に位置していたとされる。東京湾最奥にあったことから、潤沢な内陸資源を活用していたことや、その範囲が完全に残っていることも同貝塚の特徴。貝塚といえども、食べ終わった貝殻や魚などの骨があるだけではなく、住居跡や墓もある縄文人のムラだった。
同展示では、コイ、ドジョウ、フグなどの魚や貝殻、イノシシやシカなどの骨、植物を加工する石の道具などのほか、1965(昭和40)年に2体、2016年に3体発見された縄文人骨も展示している。発掘された際、右手首には貝のブレスレット、右耳にはサメの背骨でできたピアスをしていた人骨もあり、現代人のようにアクセサリーを身に着け、おしゃれをしていたようだ。
日本人のルーツとなる縄文人の生活を知ることができる貴重な神明貝塚。春日部市では国史跡の指定を目指しており、今後さらに調査が進めば、新たな発見も期待できるという。
開館時間は9時~16時45分。月曜・祝日休館。入館無料。9月16日まで。