春日部工業高校(春日部市梅田本町1)で11月10日、文化祭「春工祭」が開催され、機械科と建築科の3年生が夏休みから取り組んできた、全長400メートルの線路や電車を格納するアーチが披露された。
これまでの文化祭では、東武鉄道の「リバティ」やJR新幹線「はやぶさ」などのミニ電車に来場者が乗り、直線の線路を走らせていた。今年は生徒から「来場者にもっと楽しんでほしい」との声が上がったことから、機械科は直線から楕円のレールを周回できる全長400メートルの線路を、建築科は電車を格納するアーチを製作するという初の合同企画に挑戦した。
線路が直線から楕円のレールを周回するには、途中5カ所のポイント(分岐器)が必要。生徒たちは製作の経験がないことから、写真や買ってきた模型を研究し試作するも上手くいかなかった。そこで東武鉄道に協力を仰ぎ、実際の線路で教えてもらうなどして、試行錯誤を繰り返し作り上げた。
電車を格納するアーチは、当初の設計では2階建てだった。進行するにつれ、安全性や予算の面で厳しいことが分かったため、1階建ての駅舎のようなシンプルな形に変更。「最後の最後まで調整が必要だった。線路下の土台は初めて作ったが、平行にすることが難しい」と、建築科アーチ班棟りょうの大杉龍広さん。
来場者の列は途切れず、「リバティ」やポイントの製作に協力した東武鉄道職員もミニ電車に試乗する光景も見られた。「実際に走ってうれしいが、このアーチと線路の取り組みは初めてで運営は手探り。最後まで無事に走ってくれれば」と機械科電車班隊長の本澤知治さん。
機械科教論の津野章久さんは「7年前に課題研究として電車作りを始めた時は、ミニ電車作りのみか、走っても直線線路を行き来するのみで、今回のような規模になるとは思わなかった」と話しながら目を細めていた。