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越谷の農場と春日部の自然食カフェがタッグ サステナブルな地域目指し商品開発

(左から)農場産のライ麦粉と小麦粉を持つ遊佐謙司さん、シェフの上野剛さん

(左から)農場産のライ麦粉と小麦粉を持つ遊佐謙司さん、シェフの上野剛さん

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 越谷の「遊佐農場」(越谷市宮本町5)と、春日部の自然食カフェ「came came 30(かめかめさんまる)」(春日部市大枝)が12月3日、コラボレーションした菓子を発売する。

農家の焼き菓子

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 種を自ら採取して無農薬栽培で野菜を栽培し、地元の人に買ってもらう循環型農業で、地産地消100%を目指している「遊佐農場」と、「元気に健康になってもらえる食を提供したい」との思いから、地元の農家から届いた野菜の根、葉、皮なども使いランチや弁当、スイーツなどを提供している「came came 30」。

 両者の出会いは、同カフェのシェフ上野剛さんが前身の店をオープンする前にさかのぼる。上野さんは店で使うための自然農法で作られた地元野菜を求め、周辺の農家を訪ねて回った。「人に聞いたり、ネットで探したりしたがなかなか見つからなかった。遊佐さんとはマルシェイベントで知り合うことができた」と振り返る。

 野菜納品時の立ち話で、野菜が売れずに残ったり畑から取り切れなかったり、売れない規格外野菜があることを知った上野さんが、加工し商品化することを持ち掛けた。「私にとってはやっと見つけた野菜。廃棄するのはもったいない。困っていると知り何とかしたいと思った。自然農法を守りたいし、農家あっての当店でもある」と話す。

 コラボレーション第1弾は、3年ほど前。同農場の規格外ニンジンを加工して保存可能な総菜として販売を始めたところ口コミで広がり、リピーターが増え、店頭に出すとすぐに売れてしまうと言う。

 同農場の遊佐謙司さんは「規格外ニンジンを売ることができず、畑の肥料にしたり、人にあげたりしていた。加工品にすると、野菜よりも日持ちするし、売りやすく需要もある。オリジナル商品だし、お互いに共通のお客さんもできてウィンウィンになっている。変形した野菜や小さい野菜、売れ残りのものも収入になればいいのに、というのは農家なら誰でも考えると思う。上野さんのような方は農家にとって救世主。安心して野菜作りに励める」と笑顔を見せる。

 新商品は、遊佐農場産のライ麦、小麦を使った「農家の焼き菓子」(280円)。遊佐農場産の農作物のほか、県内農家から仕入れたツルクビカボチャという日本カボチャも使った。上野さんは「柔らかく口溶けの良いケーキとは違い、かむほどに味わいが出るようにしている。遊佐さんの農法の良さを生かすことを意識した」と言う。

 遊佐さんは「食べた時、素材の味を感じ、おいしいと思った。次はうちのニンジンの焼き菓子をお願いする。循環農法はなかなか大変で常に模索しているが、少しずつ実現している実感がある。仲間の農家が作る野菜も同じように加工して販売するようにできたら。農家を減らさないようにしていきたい」と力を込める。

 上野さんは「せっかく無農薬で作ってくれた野菜。添加物や体に悪影響を与えるようなものを使わず、なるべく栄養素を失わないよう加工している。野菜の種は捨てずに洗って遊佐さんに返す。食品ロス削減をはじめ地球環境や体のことを考え、自然農法の農家さんの野菜を使い地元で消費するなど、サステナブルな取り組みに力を入れていきたい。ほかの自然農法の農家ともコラボレーションできたら」と意気込む。

 遊佐農場直営店(越谷市越ヶ谷本町、TEL 048‐940‐5474、「はかり屋」内)で販売。

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