春日部市と市農業委員会が進めている「春日部産米を活用した食の新たな地域ブランド創出に向けた実証実験」の報告会が3月29日、中央公民館(粕壁)で行われた。
昨年3月、市と市農業委員会は同実験に関する基本協定を、南彩農業協働組合、埼玉みずほ農業協働組合、春日部商工会議所、庄和商工会、春日部市観光協会、川上製麺所、みたけ食品工業と締結。昨年5月に、多収の高アミロース米品種で米粉麺への加工適性を持っている「亜細亜(あじあ)のかおり」の苗を、椚地区の約30アールのほ場に植え、10月に稲刈りを行った。
報告会では各事業者と、開発商品の可能性を広げ、麺類以外の商品を開発するため新たに実証実験協力団体として加わった埼玉県麺類業生活衛生同業組合春日部支部と埼玉県立杉戸農業高校が、これまでの取り組み内容を発表した。
収穫した米1200キロのうち780キロを、みたけ食品工業が米粉麺に合う粒度に製粉加工。川上製麺所はみたけ食品工業と協力して小麦粉を使わない米粉麺の商品開発をしているが、ゆでると短く切れてしまうことから、作りたて、冷蔵保存、冷凍保存の3種に分けて研究を進めている。
埼玉県麺類業生活衛生同業組合春日部支部は米粉に小麦粉を合わせた麺を開発。米粉7に対して小麦粉3の割合で麺作りに成功したが、今後さらに米粉の割合を増やすなど研究を進める。埼玉県立杉戸農業高校はマドレーヌやシフォンケーキ、中華料理用の皮の開発。マドレーヌやシフォンケーキは食感の改善や味のレパートリーを増やすなど、中華料理用の皮については生地が乾燥しやすいことの改善などや土産品としての開発をしていく。
市環境経済部 農業振興課課長の舟田由彦さんは「極力小麦粉を使わない米粉麺は、市内協力店にサンプル麺を提供する計画だったが、さまざまな課題が見つかったことから試作品の提供に至らなかったので課題を解決していきたい。今後も引き続き商品開発に取り組み、『亜細亜のかおり』に加え、パンや菓子に適した品種『笑みたわわ』の栽培にも着手する」と話す。