製麺販売を行う「川上製麺所」(春日部市小渕、TEL 048-752-2277)が4月1日、95周年を迎える。
うどんやラーメンの麺、ギョーサ・シューマイの皮などを製造販売している川上製麺所。1928(昭和3)年に故・川上文平さんが創業した。当時は乾麺を製造して市内の青果店や魚店に卸したり、敷地内の販売店で販売したりしていた。
3代目の川上雅己さんは「周辺に農家が多かったこともあり、戦後は、お客さんが自作した小麦を持ってきて、それをお金代わりに頂いて、量に見合った乾麺を渡すという物々交換をしていたこともあると聞いている。頂いた小麦は製粉工場に持ち込んでいた」と話す。
2代目の故・川上真平さんが乾麺に加え、ゆでうどんや生中華麺の製造も開始。1963(昭和38年)ごろには販売所を「雅園」という名の食堂にして運営していた。自家製麺を使ったラーメンやチャーハンなどを提供していたが、人手不足から10年ほどで閉めた。1973(昭和48)年ごろには乾麺製造をやめて生麺の製造販売に移行し、工場も建て替えた。
1990年ごろから市内外にラーメン店や食堂が増え、中華麺の卸を始めたことで取引先が大幅に増加。埼玉県からの委託で1965(昭和40)年ごろに始めた学校給食のソフト麺製造は、春日部のみならず杉戸町などにも納品していたが、少子化や設備投資の問題などにより、2013(平成25)年に撤退した。
現在は、春日部や越谷、杉戸町、岩槻などのラーメン店を中心とした飲食店に麺を卸し、介護施設や病院などにゆでうどんを販売しているほか、工場販売も行っている。工場で販売しているのは、春日部市のかすかべフードセレクションや彩の国優良ブランド品に認定されている「日光街道かすかべの生うどん」(300グラム、230円)、「生そば」(260グラム、200円)、「中華麺」(140グラム、80円)、贈答用生うどん(8食入り、麺付付き、1,800円)。
雅己さんは「一番大変だったのはソフト麺を販売していた時。週4・5日は2時に起きてソフト麺を4000~5000食作り、10時に納品していた」と振り返る。コロナ禍になってからは、多くの飲食店が閉店し、追い打ちをかけるように食材も高騰していることから、業界自体も厳しくなっているという。
雅己さんは「今後は製麺に加え、他事業の展開も考えていきたい。春日部が、鉄道高架などで人口が増えたり、個性のある店が開いたりして、魅力ある街になって活気が出たらと願っている」と話す。
販売所の営業時間は8時~12時、14時~17時。月曜定休。