春日部市の練り物製品加工販売店「味の丸定水産」(米島、TEL 048-746-5727)が7月末で閉店する。
1976(昭和51)年4月、遠藤定雄さんが創業した同店。千葉県で生まれ育った遠藤さんは中学校を卒業し、赤羽にある叔父の練り物販売店に住み込みで働いた。12年働き、同業者だったときこさんと結婚したことを機に、アーケード内に店を開いた。定雄さんは「当時、この周辺は栄えていた。アーケード内で買い物をしいている人も多く、開店してすぐ、たくさんお客さんが来てくれた」と振り返る。
当時、同アーケード内には豆腐店や鮮魚店、青果店、精肉店などが店を構えていた。同店は、はんぺんやつみれなど合わせて約30種の商品の店頭販売に加え、おでん店などにも卸していた。繁忙期の冬には、深夜1時ごろまで店で作業することも多かったという。
商品は、手作業と機械で作る。魚の頭や内臓、皮、骨を取り除きミンチにした後、滑らかになるまで1時間ほどすってから、野菜などの具材を入れ、成形し、揚げる。魚とでんぷん、調味料と具材で作り、防腐剤は入れていないため、日持ちは2~3日ほど。
近隣にスーパーができたことなどから、2000(平成12)年ごろから徐々に客足が減ったという。定雄さんは「以前は今の10倍以上の売り上げがあった。今来てくれるのは常連さんだけ。妻の腰の調子が良くないことや、保健所更新のタイミングでの閉店を決めた」と話す。
現在は練り物約20種類を販売している。ときこさんは「既製品よりも値段は高いかもしれないが、お客さんからは『煮崩れしない』『煮た時に出るだしがおいしい』などの声を頂いている」と話す。
「開店の時から来てくれているお客さんもいる。生活できているのはお客さんのおかげ。本当にありがたいと思っている。例年冬になると『久しぶり』と来てくれるお客さんが多いので、今の時期に閉店すると会えない人もいるかもしれないが、感謝している。ありがとうございました」と笑顔を見せる。
営業は7月31日まで。営業時間は9時30分~18時30分。火曜・金曜・日曜定休。