店主が闘病中のため休業している春日部の日本料理店「魚菜家 柚庵(うおさいや ゆうあん)」(春日部市中央1)が10月1日、再開に向けたクラウドファンディングを始めた。
1975(昭和50)年に近藤裕介さんの祖母、故・玉枝さんが小料理店「田舎家 たまえ」として創業。東京の炉端焼店で修業を積んだ裕介さんが1995(平成7)年から「魚菜家 柚庵」として営業し、客席の前で魚や旬の野菜などを遠火で焼く炉端焼きを売りにしていた。
今年7月、裕介さんがステージ4の喉頭がんと診断され店を休業。手術で喉頭を全摘出したため、もう発声することはできない。
店頭に「しばらくの間店主は体のメンテナンスのため、でかけてきます。必ず帰ってきます」と張り紙をして休業を知らせたところ、「大丈夫 待ってます 元気になって」(以上、原文ママ)など客からの張り紙や書き込みがあった。
次女の麗さんは「物心がついた頃から、父が店に立っている姿を見てきたが、お客さまと楽しそうに会話をしている父は本当に生き生きとしていたのを覚えている。闘病中の父が『もう一度店に立ちたい』と言った時、父にとって店はそれほど大切な場所で、生きがいなのだと気付き、娘として、その場所を守ってあげたいと思った」と話す。
休業中も固定費が毎月かかることや設備のメンテナンスや修繕、食材の仕入れなど営業再開のために資金が必要であることから、クラウドファンディング「CAMPFIRE(キャンプファイヤー)」でプロジェクトを立ち上げた。目標金額は300万円で、65人の支援者から161万5,884円が集まっている(10月9日現在)。
市内に住む女性は「大将は、お客さんに愛されている。味はもちろん行動も男前で、私も含め人柄に魅了されて通っている人も多いと思う。再開したら足を運びたい」と話す。市内で飲食店を営む男性は「同じ春日部で飲食店を営む者として、少しでも歴史ある店の継続に力になれればと思っている。地域の皆さんの応援が、柚庵さんや家族の支えにつながることを願っている」と話す。
現在も治療を続けている裕介さんは「ここ春日部で、柚庵の料理とお酒を楽しんでくださるお客さまとの会話が好きで、楽しい時間を共有できることが、私にとって何よりの喜びだった。病気を宣告された時は絶望感で一杯だったが、家族や担当医、仲間たちの熱意、お客さまからの励ましの言葉や支援に何度も力をもらい、感謝している。もう一度店に立ち、お客さまを迎えられるよう、これからも頑張っていきたい」と力を込める。
クラウドファンディングの受け付けは10月31日まで。