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春日部の通信制高生が「メタバース校」開発へ 「どんな環境でも学べる場所を」

(左から)松田俊さん、原山光太郎さん

(左から)松田俊さん、原山光太郎さん

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 春日部の通信制高校「松実高等学園」(春日部市中央1)の生徒らが現在、授業ができるメタバース空間を開発している。

メタバース校の教室

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 2003(平成15)年に設立された通信制高校で、初等部・中等部・高等部から成り、児童生徒は約300人。

 4月に卒業した松田俊さんと、松田さんの思いに共感した高校3年生の原山光太郎さんが中心となり、今年2月末、メタバース空間の開発を始めた。

 松田さんは「学びたいことがあったが近くで学べる学校がなかった知人がいた。ウクライナにも、学校に行けず学べない子たちがいる。そんな人たちもでも気軽に通える、環境などに左右されない場所が作りたいと思った。メタバース空間は、通常のオンライン授業よりも意思疎通がしやすい利点もある」と開発のきっかけを話す。2人のほか、メタバースやAIなどの知識を得る中で知り合った同学園以外の中学2年生や高校3年生合わせて4人で制作している。

 「松実高等学園メタバース校(仮)」は、学園のロビーや教室などがあり、自分のアバターで授業などに参加する。ゴーグルなどの装備がなくても、通信環境があれば、スマートフォンでもパソコンでも該当のウェブページから利用できる。授業以外でも生徒同士の会話ができたり、生徒自らが得意なことを教えたりするなど、知識が共有できる空間を目指す。

 松井寛学園長は「メタバース校のアイデアが出た時点で話し合いはしたが、その後は報告を受けるだけで、基本的に生徒たちだけで進めている。運用方法などは、学習サポートをしてくれているボランティアの大学生に教えてもらい進める。制作を通して、また運用で学べる児童生徒が増えたら、さまざまな自立につながるのでは」と話す。

 松田さんは「自分が苦しかったときに助けてくれる人がいなかった経験がある。だから、自由に創造できたり、知識を共有できたりする環境を作って、何か問題があり学びたいけど学べない人の助けになりたい。才能がある人や興味がある人たちを集めて、互いに新たな刺激となれば」と話す。

 「地域とつながれるような、例えば地域の店の商品を販売するコンテンツを作ったら、そこから実際に人と接する機会も作ることができるなど、不登校の生徒がリアルに出る一歩にもなるのでは」と期待を寄せる。

 現在、授業の時間や自身の勉強の合間に制作を進めているほか、運用方法を考えたり、メタバース内に掲出する広告のスポンサーを探し交渉したりしている。ベータ版は年内にリリースし、2024年1月に正式に運用を始める予定。

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