越谷市に「つむぎこどもクリニック」(越谷レイクタウン2、TEL 048-989-2650)が4月1日、開業する。
感染症と非感染症の出入り口を分け、診察室3室、隔離室も備えるクリニック。音楽は流さず、水槽を設置するなど音過敏の子どもでも安心して受診できることを意識した造りで、小児科専門医の吉岡淑隆(としたか)さんが医院長を務める。
吉岡さんは墨田区で生まれ育った。「中・高校とサッカー部でサッカーばかりやっていた。サッカーチーム専属の理学療法士になりたいと思っていたが、杏林大学医学部に受かり、医学の道に進むことになった」と振り返る。大学で医学の面白さに目覚め、妻となる人とも出会った。
卒業後の初期研修は、妻が研修していた病院だった。全科を回った中で、子どもが好きだということもあり小児科での研修が楽しかったことや、妻が小児科医の道に進んだことで、自身も小児科医になることを目指すようになった。「地域の支柱病院だった。患者を主体に考える病院で、患者のために、地域のために医療をするということを学んだ」と話す。
埼玉県内の病院で働いた際には、赤ちゃんの保護者や高齢者向けの講座の講師も務めた。「参加者がグループや地域でつながりながら成長していけるような講座や、高齢者に向けた講座を行った。小児科医として、患者さんとこのような関わり方があるのかと知った。外来で患者さんを診るだけではなく、小児科医としての経験や知識も生かせる上、楽しくて、子育て支援が好きになった」と言う。
その後、東京の病児保育室を備えるクリニックで働いたことで、患者の家庭背景に触れる機会が増えたことや、産後ケアや子育て広場、保育園の立ち上げや運営などに携わったことから、患者の家庭背景などのへの介入の必要性を感じたという。
「外来で診察している瞬間は生活の一部分を切り取っただけ。生活習慣や置かれた環境はそれぞれ違う。患者さんのバックグラウンドへ介入の必要性を感じた。病院で待っているだけではなく、出て行かなければ。原因への介入がないと、病院に来るという結果が変わらない患者さんもいる。話を聞くだけでも軽減されることもあると思うし、他機関や病院と連携などもできたらと思う」と話す。
自分ができることから始めようと、子育てのために移り住んでいた妻の出身地である越谷で、病児保育室を併設する小児科クリニックを開くことを決めた。病児保育室を自主運営することにしたため、クラウドファンディングで519万6,000円の資金を1カ月半で集めた。企業協賛なども合わせて運営していく。病児保育室は10月に開業予定。
「病児保育室が自主運営のため、手続きの煩雑さをなくし、住んでいる地域にも関係なく、必要としている方に利用してもらえるような、地域から愛される病児保育を目指す。育児困難や障がいのある子どもなども受け入れられるような病児保育室の新しい可能性にもチャレンジしていけたら。自分はお医者さまではなく、お医者さんになりたいと思っている。診療だけではなく地域でのイベントにも関わっていく。子育て支援といえば吉岡と言われるくらいに頑張りたい」と力を込める。
診療時間は、9時~12時30分(土曜は12時まで)、14時~18時。土曜午後・日曜・祝祭日休診。