首都圏外郭放水路が5月22日、大雨の影響で今年初めて稼働した。
2002(平成14)年6月に倉松川から江戸川までの部分通水を経て、2006(平成18)年6月に大落古利根川から江戸川までの全区間で通水を開始した同施設。中川、倉松川、大落古利根川、18号水路、幸松川などの増水した河川水は各立坑から流入し、地下トンネルと調圧水槽(通称=地下神殿)にためて江戸川へ排出する。
5月22日に関東地方で降った大雨や、23日の降雨により河川水が増水。同施設の地下トンネルへの河川水の流入は、22日20時に大落古利根川(第5立坑)から始まり、18号水路(第2立坑)、倉松川(第3立坑)と続き、24日の7時ごろに完了した。
地下トンネルと調圧水槽に貯留された河川水を排出するポンプは23日の16時ごろに稼働開始。翌日11時ごろまでの約19時間続いた。同施設に河川水が流入するのも、排出ポンプが稼働するのも今回が今年初めて。
首都圏外郭放水路管理支所の職員は「水の入り具合により、4台あるポンプの使用台数を変える。今回は1台の使用で済んだ」と話す。調圧水槽内や地下トンネルにたまった土砂の撤去作業は、水が抜ける26日ごろから順次、水切りモップ、スコップなどを使って人力で行う。
例年5月は、平時に加え、特に川が増水しやすい6月1日から10月31日までの出水期に備え、約3週間かけて機械設備の整備点検を実施している。同支所の職員は「これから、梅雨や夏の台風といった出水期間のシーズンとなるので、今後の大雨・豪雨などに引き続き注意し、今回と同様に迅速に対応していく」と話す。